あらすじ
村山由佳が描く、業界震撼の“作家”小説!
「どうしても直木賞が欲しい……!」
賞(prize)という栄誉を獰猛に追い求める、あるベストセラー作家と彼女を取り巻く人間たちの、破壊的な情熱が迸る衝撃作!
ライトノベルの新人賞でデビューした天羽カインは、3年後には初の一般小説を上梓、その作品で〈本屋大賞〉を受賞。以来、絶え間なくベストセラーを生み出し続け、ドラマ化・映画化作品も多数。誰もが認める大人気作家である。
――しかし彼女には何としてでも手に入れたいものがあった。それは〈直木賞〉という栄誉。
過去に数度、候補作入りするものの、選考委員からは辛口の選評が続いた。別居する夫には軽んじられ、まわりの編集者には「愛」が足りない。私の作品はこんなに素晴らしいのに。いったい何が足りないというの?
*
『南十字書房』に勤める緒沢千紘は、天羽カインの担当編集者である。学生のころから大ファンで、編集者になってからは必死のアピールのすえカインの担当となった。〈直木賞〉が欲しいとのたまうカインに振り回されつつも、彼女の情熱に応えるべく、自らのすべてを懸けてカインに没頭するようになってゆき――。
一方『文藝春秋』のカイン担当、「オール讀物」編集長の石田三成は当惑していた。文春から出す新作を「絶対に候補作にしろ」とカインに詰め寄られたのだ。そしてその日カインが宿泊するホテルのカードには、手違いで「石田三成」の名前が載っていて……。
果たして天羽カインは直木賞を獲得することができるのか。
あまりのリアリティに業界震撼! 文芸を愛するすべての人に捧げる容赦ない作家小説。
読後感想
まず本書を読み始めて、文藝春秋社が発行する本書で同社の実名および小説雑誌の名が何回も掲載されているのに驚いた
もっともあまり良くは扱われていなかったが・・・
天羽カインは直木賞受賞こそが大作家たる名にふさわしいと思い、文藝春秋社の社員を脅しながら受賞を勝ち取るべく賢明に執筆活動をしていた
直木賞受賞は「権威ある誰からか、わかりやすい形で褒めてもらいたい。選ばれて思い切ってシャネルのドレスでも買って、人前で晴れがましい思いをしたい。いやってほど褒めまくって欲しい。おだてられて有頂天になってみたい。一度で言い方自分の作品を心の底から誇りに思いたい。」存在だ。
ただ彼女は何か自分に気に入らないことが得ると怒りをそのまま態度に表す暴れ馬のようだった。これまでの各出版社の編集者から煙たがれ彼らを有効に利用していない
ベストセラー作家でありながらいつももう一歩と言われ受賞が叶わない
自分の主張ばかり目に付き読者に寄り添っていないからだと諫められていた
書籍の出版を通じて知り合った南十字書房の若き編集者緒沢千紘とじっくり話し合い千紘の校正を受け入れることになり、新刊書発行に際しの泊まり込みの校正を重ね良い作品が仕上がった
その本はようやく直木賞受賞が叶えられた
ただ千紘は著者の天羽に知らせず1行修正していた
事後にこれを知った天羽は直木賞受賞日当日の挨拶で受賞を辞退した
まずは天羽カインのどこまでも貫くうぬぼれと出版各社の編集者たちとの際どいやりとりが面白かった
そして書籍の出版までの過程が大変なことだと知った
特に編集者は著者と一体になり書籍を仕上げる重要な役割を担ってるのだなぁ・・・
「天羽カイン」は林真理子氏が4月週刊文春に書いた『パワハラにより出版社から縁を切られた某大物女性作家』がモデルのように思えた
--------------
以下のバナーをクリックしてもらえると更新の励みになり嬉しいです
↓
*イラストはフリー素材を使用しています
*クリックありがとうございます