あらすじ
増田陽二は検察事務官
佐伯検事は増田より3歳年下の26歳だ
増田は佐伯の下働きのような存在
今日は増田が高校時代、部活をやっていた当時の監督の告別式だ
佐伯はその始まる時間を気にしながら増田を早めに早退させた
告別式には同期の元柔道部員も何人か来ていた
そのうち木戸彩香はマネージャーだった
そして当時、人より体が一回り大きかった伊達将司もきていた
木戸から増田に告別式が終わったらみんなと食事に行かないかと誘いを受けた
その場には伊達も来ていた
伊達は大阪府警刑事課に勤務しているという
増田も地元検察庁の事務官をしていると話したことから伊達に大阪の検察庁の検事正が誰だったか聞いても要領を得ず不審に思った
伊達は食事の場をお金を置いて先に帰ると言って出た
増田はあとを追いかけ実情を訊いた
「お前は警察官でないんだろう」
言いにくそうにしながら次のことを増田に明かした
伊達は卒業後柔道強豪大学へ進学したが、まわりは強い学生ばかりだったので、せっかく進学しても自分の弱さを実感した
しかも大学2年の頃、自転車でコンビニへ向かっていたとき自動車から追突され腰椎と大腿骨を損傷し全治2ヶ月の重傷を負った
全快したが以前ほど力が入らず、しかも些細なことからケンカをし警察沙汰になり、事件1ヶ月後大学を辞めた
その後自動車販売会社に入社したが実績が上がらないことをネタにネチネチとやられ、退職した。その後もケンカで警察沙汰になり、前科付きになった。現在は定職に就かず時給で稼げるところを点々としているという。
伊達は増田が柔道が強くならずくじけていたとき励まし漫画のキャラクター早乙女のようになれよと言ってれ、退部を引き留めてくれた
増田はその言葉をそのまま伊達に返すと言う
「みんな辛いんだ、幸せになりたいのにどうしたらなれるのか苦しんでいる。おれはバカになんかできない。それに俺はお前が言っているほど立派じゃないよ」
増田は「木戸の連絡先だ」といって無理矢理伊達のポケットにねじ込んだ
後日増田へ木戸から連絡があり、伊達が現在のあるがままを手紙に書いて送ってくれたという
木戸は増田がこのことを知っていたのか尋ねたが知らないで通した
今さらいってもしょうがない
翌日増田は佐伯に昨日の顛末を話した
佐伯「嘘の先には嘘しかありません、増田さんは友人にそんな人生を遅らせたいですか」
増田「いいえ」
佐伯が満足したように微笑んだ
増田も笑った
読後感想
本編は「佐方貞人」シリーズの一遍のようだ
したがって増田はシリーズでは主役ではないがこれは増田の心がこもったストーリーだった
小さい頃は何が何でもヒーローになりたいという少年がいるが、大人になって世の中そんな甘くはないことを知る
みんながみんなヒーローになることは無い
誰かのためになる下働きだって良いんじゃないか
僕はそう思った
今回で「チョウセンアサガオの咲く夏」は終了
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